つくば市の防災科学技術研究所に「Dr.ナダレンジャー」という謎の博士?がいます。
災害に関心のない人(主に子供たち)に興味を持ってもらおうと、手作りの実験装置を考案して楽しく分かりやすく実験教室・ショーを開いています。
「ゆらゆら」実験で見える建物の共振現象
地震が起きると様々な周期を持つ揺れ(地震動)が発生します。周期とは、揺れが1往復するのにかかる時間のことです。
一方、住宅をはじめとする建物にも固有周期というものがあります。そしてこの固有周期と同じ地震動が来るとその建物は共振して大きく揺れてしまうのです。つまり、
- 固有周期の長い高層マンション(ビル)は、長周期地震動が来ると大きく揺れる。
- 固有周期の短い戸建て住宅は、短周期地震動が来ると大きく揺れる。
ということです。
言葉で説明すると難しいですが、Dr.ナダレンジャーは手作りの実験器具を使って、その様子を分かりやすく見せてくれます。
(YouTubeの文部科学省のページ)
映像の前半は、ペットボトルを使った液状化現象の実験です。中頃から「ゆらゆら」の実験が始まります。
液状化現象とは
液状化現象とは、地震時に地下水位の高い砂質地盤が振動により液状化する現象です。
この現象が起こると、比重の大きい構造物が埋もれたり倒れたりし、逆に地中の比重の小さい構造物が浮き上がったりしてしまいます。
場所により大きな地震の際に家や電柱が傾いたり、マンホールが浮き上がったりする被害はこの液状化現象によるためです。
東日本大震災時、茨城県では大子町を除く43市町村で液状化現象が見られ、特に神栖市・鹿嶋市・稲敷市・潮来市で被害が大きかったとのことです。(水道技術研究センター調べ)
親子で防災を楽しもう
ナダレンジャーのゆらゆらの作り方は、公開されています。
「ゆらゆら」にはいくつものタイプがあり、建物の「免振」「耐震」「制震」のしくみを表現するものがあります。
免振とは
地震の力を逃がすしくみのことです。
建物の基礎部分にゴムなどの柔らかい素材を挟んで、地面の揺れを建物に伝えない免振装置が代表例です。超高層マンションなどで採用されています。
耐震とは
地震力に耐えられるように、建物を頑丈にすることです。
木造住宅で言えば、壁に筋交いを入れる、構造用合板を使う、耐震用金物を使うことなどが挙げられます。
制震とは
建物内部のしくみにより地震力を吸収・減衰することです。
制震ダンパーがその制震装置・機構の例です。ショックアブソーバーと言えば良いでしょうか。
ゆらゆらで遊びながら揺れを学ぶ
作り方も簡単ですしおもしろいので、お子さんと一緒に作って楽しんでみてはいかがでしょうか。実際やってみると大人にも新たな発見があるかもしれません。
地震による建物の揺れについてのもう少し具体的な記事は、地震シュミレーションで家の揺れ方を確認をどうぞ。